SPring-8のXFEL
ブルーレイのDVDの拡販に
しのぎを削る家電メーカー。
地デジにしても、ブルーレイにしても
過剰なスペックであり、逆に融通が
効かないという面も多いと思う。
ともあれ、ブルーレイの基本原理はDVDの
半導体レーザーでも青い光は波長が短く
より小さいデジタルな信号を読み書きし
判別できるから記録容量もアップする訳だ。
さて、ブルーレイより短い波長のX線をさらに
高エネルギーにパワーアップしたらどうなるのか?
播磨科学公園都市には世界に
誇れる大型放射光施設 がある。
SPring-8 (Super Photon Ring 8GeV)
真円トラックのサーキットのようにも
見える巨大な施設で、荷電粒子(放射光)を貯蔵、
加速させる事のできる第三世代の放射光施設だ。
文部科学省管轄で高輝度光科学研究センターが
管理しています。写真は中央管理棟です。
駐車場にある岩は岩盤の地層の岩で、この地が
建設に選ばれたのは歪みの発生が少ない
屈強の一枚岩盤があったためです。
写真は各研究棟です。その
背後にはクレーンが見えますが
XFEL(X線自由電子レーザー)
の施設を現在、建設中です。セリウムボライトの
電子銃から加速管で加速し、アンジュレータで
波を揃えてビームラインに送ります。分子構造
や化学反応の速い動きも観察できる他、
核融合に必要なプラズマもつくれちゃいます。
三原栗山(341m)のまわりに
円を描くSPring-8の象徴的
な建築物が蓄積リング棟だ。
写真は北東面の景色です。
SPring-8の「8」は最高加速の8GeVから
きています。電磁波のエネルギーを考えると、
ガンマ線は定義上、1MeV以上であるが
(X線で100keV)、Spring-8では加速する事で
高エネルギーガンマ線で1.5-2.9GeVが利用可能。
X線は医療用レントゲン撮影など透過力が高い
ですが、巨大施設ではその光が極端に明るいのね。
蓄積リング棟の北西面の景色。
線型加速器棟からシンクロトロン
棟で加速し、さらに蓄積リング棟
でパワーアップするという流れだ。
シンクロトロン(円形加速器)と蓄積リングでまさに8の字!!
高エネルギーの素粒子をつくる事で原子より小さい
波長の光は原子をすり抜けて原子核の人工破壊や
同位体元素の製造が可能となる。
もちろんナノテクノロジーの目ともなる訳だ。
一般見学は放射光普及棟のみ。
普及棟のメインはSOR-RINGです。
世界初の放射光専用の第二世代
電子蓄積リングで、東京大学物性
研究所軌道放射物性研究施設として、東京田無の
東大原子核研究所に設置されていたものです。
退役でSPring-8に移設されました。
普及棟にはラボレベルの
設備が展示されている程度。
スタッフには公開日に実施設を
見学する事を薦められましたよ。
加速器系の展示では高周波入力カップラー(左)
とシンクロトロン加速空洞の模型(右)があり、
クライストロン(高周波増幅器)の高周波を
入力する様子を説明しています。
蓄積リング内の分光器が
展示されていました。
SPring-8標準型二結晶
分光器です。熱負荷に
対応した真空チャンバーは
シリコン単結晶の傾斜により
1/60に緩和。硬X線の分光に使われます。
小型の施設は世界各国にもあるが
第三世代の巨大な放射施設は
世界でも日本のSpring-8(8GeV)、
米国のAPS(7GeV)、
ヨーロッパ(仏)のESRF(6GeV)
の三つだけである。第三世代とは挿入光源が
偏向磁石からの放射光がメインでなく
アンジュレータが主体である事です。
ノーベル賞ラッシュにも貢献した施設でした!!
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント