メリクリ!! 推薦図書
2009年7月のアミューズツアー登山の遭難の
事実と検証の本を読んだ。
当時、またガイドツアーの事故が
大きいのやってしまったなあって思ったが
登山者、ガイド、旅行代理店などの各面を
考えさせられる内容であった。
「トムラウシ山遭難はなぜ起きたのか
低体温症と事故教訓」
http://www.yamakei.co.jp/products/detail.php?id=140140
18人のうち8人が亡くなった訳だが生存者8人から
それぞれの状況インタビューから導かれるもの。
参加者だけでなく生き残ったガイドの証言も
踏まえており、視点を絞っていない事で
見落としを無くしているのがすごい本です。
そして、気象遭難、低体温症、運動生理学の
各専門家の分析がかなりしっかりされている。
冗談抜きでこういうのは原発事故でも
検証されるべき第三者的な視点が必要だと
思ったほど、中立の立場で冷静に見てるね。
そしてもちろんツアー登山という形態にも言及している。
確かに私なら小屋に停滞した状況なのだろう。
ツアーの危うい状況は一人アウトになったら
どんどんバラバラになって崩壊していくもんだなあ
って感じた。余裕あればフォローもできるだろうが、
全員次第に不調になっていく状態ではもうどう
しようもなくなる。まあ、濡れた状態での低温と
台風並の風で、さらにカロリーを確保できていない
状態で泥沼にはまっていく姿がよく分かった。
低体温症(ハイポーサーミア)は登山よりカヤックでは
かなり一般的だが夏山でも北アの3000mや北海道の
2000mでも普通におこりうる気象条件があるのを
データで説明してくれている。
実際に低体温症になった時にどうなるのか
も詳細に検証されている。
以前、私が二回目の乗鞍雪山厳冬期
アタックした時、高山病と思った症状は
完全に低体温症だったと理解しました。
マイナス20度以下の位ヶ原から
気持ち悪いし、足も重くなってきている。
乳酸が増えてアシドーシスという状態になる。
手を胸にあてた時、手より胸が冷たい状態は
かなりヤバイ状態だったのだろう。
下山し温泉に入ったときにさらに酸欠状態に
なっていたので、アフタードロップも起こって
いたと思われます。
まあ、安静にして回復したから良かったけどさ....
けっこう綱渡りしてたと今更にビビリます.....
ともあれ、八甲田山(明治)、立山(大正)、鎌尾根(昭和)で
知られる冬山の疲労凍死は基本、低体温症である。
冬山でなくても現実、北アルプスや北海道で
夏山でも定期的に発生している事故であるが
細かい分析をいままでしていなかったため
疲労凍死で片づけられてしまいがちだったのは
困ったもんである。夏山でも起こりうるのは
承知しないとアカンですね。
まあ、ツアー登山の問題点はともあれ日本が独特で
あるというのも見えてきました。だからって
ガイド免許が解決するもんでもないなと思うけどね。
結局、生還者は最後は自分でなんとかするしかないって
結論になってしまうのだよな。オウンリスクの世界だからにゃ。
まあ、この遭難救助で全くズレた映画
になったのが「岳」でしたね。漫画は
すばらしいのだが映画は崩壊.....非推薦です。
まあ撮影ロケ現場をチェックするのが
楽しみな映画って程度だったかな。
オープニングのシーンで雪尾根を
駈けるシーン。乗鞍と焼岳が見えるじゃん。
きっちり先日の西穂高の丸山の
稜線じゃんね。
オープニングで救助ヘリがくる場所は
背景に妙高と戸隠が見えます。
ヘリ着陸しやすい栂池上部の
白馬乗鞍天狗平じゃんね。
クミちゃんとピッケルの使い方
シーンは見慣れた景色でした。
八方尾根の八方池じゃじゃん。
五竜遠見と鹿島槍も見えれば
ラストの遭難者と再会するシーンでは
不帰キレット周辺も見えるしさ。
まあ、マイルドな丸山のある西穂に八方と
私でも入れるヨワヨワ雪山で安全にロケってことだね。
話は変わり.....
ロッドアンドリール12月号を久しぶり
に買った。リンパ腫で急死した若き
釣り師の6ページ特集です。
まあ、私にすれば馬鹿なことを....と
思ったのですが、フクイチ30km県内で
川魚を食べながらキャンプ生活をして
8月に発症入院して3週間で亡くなられています。
原因はブログで書いてもどうしようもないので
常識的に考えてもらいたいのですが
国内外の遠征でつちかった自給自足での
バックパッカー系ライフスタイルが結果的に
こういう事になったのかもしれません。
最後にすごくしっかりした子だなって
感じたのはこの言葉だ。
「オレのことを知ったら、みんなの釣りが楽しくなくなるんで」
ちゃんと病気の理由がわかっていたんだよね。彼は.....
バイクが楽しくなくなるから....
山登りが楽しくなくなるから.....
そんな言葉を口にしなくてもいいように、
楽しみ方を変えてもいいから
大切な事は何かを考えていきたいネ。
同じことを繰り返すのが立派なことではないです。
創意工夫をしてでも臨機応変に
目的にアプローチすることが重要なのだと感じます。
あれするな、これするなではない。
ただ今まで通りが通用しないのだから。
そうして自分の生き方を模索すればいいじゃんね。
親の時代だって太平洋戦争も高度成長期もあった。
われわれ時代が安定してるなんてのは
妄想でしかないのだろう。甘ちゃんな私であり
確かに裕福な時代ではあるのだが.....
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